虎(牛)龍未酉2.1

記録帳|+n年後のジブンが思い出せますように……

思考ログ|ユーフォリー(X1)はおもしろかったのか?


はじめに(コメント)

35年かかって🤣、SHARP X1のユーフォリー(Euphory)をクリアした。

masatler.hatenablog.com

いったい、ユーフォリーというゲームはおもしろかったのか?

と問われると「……そんなには……」と答えるしかない。

じゃあなんで、そこまでしてクリアしたのか。

問い詰められても「ぐぐぐ」となるだけである。

それなりに(攻略を探す)手間ひまかけて、

何度も(攻略探しを)中断しながら、

何年もかけて続けたのはなんでだろう。

じぶんでも疑問におもったのでツラツラ書き出してみた。

なにが「いまいち」か

2021年の基準で、1987年を振り返るのは可哀想だが、 ゲームとしては下記の難点がある。

  • マップが(無意味に)広い
  • 「そらわからんで」というところに大事なアイテムがある
  • 海中の操作性は、悪い
  • ヒントが少ない
  • けっきょくお遣いゲームである(しかもヒントは少ない)
  • むちゃくちゃ難しいアクションを要求される
  • 設定はおもしろいが、ストーリーは大したことない
  • ゲームバランスもいまいち

歴史的意義

とはいえ、未だに評価もされ、EGGでも配信されている。少なくとも1987年基準では、インパクトがあったはず。それは(おそらく)……

  • SHARP X1オリジナルゲームであった
  • パソコンにしてはスムーズなアクション
    • スプライトが使えないとはおもえない
    • 2人プレイも可能
  • TAKERU(ソフト書き換えサービス)での配信
    • 目新しい
    • 少し安い
  • FM音源によるすばらしい音楽

現在的意義

おもうに「待ちに待って発売されたFM音源をつかった」「最新のキレッキレの音楽」で、「X1ユーザだけが遊べる」「スムーズなアクションゲーム」というのがインパクトがあったのではないか。

わたしも、X1用スーパーマリオを見て、「こらあかんわ……」と絶望したものね。


www.youtube.com

当時はスプライトも知らなかったので、パソコンというのは、「アクションができひんもんなのや」と。値段がひと桁ちがうファミコンにも負けるのやと。

SHARPの「パソコンテレビ X1」は、ファミコンに負け、パソコン内ではPC88に負けていた。そんななか「ほかより性能の高いFM音源」を活かした、バリバリ動くアクションゲームというのは、よほどユーザの溜飲が下がったらしい。

リアルタイムで経験しているので、思い起こすと、そういうことだった。

アクションも、とくに冒頭は素晴らしく、2人同時でもスムーズなのは感激だった。

音楽も気合が入っていて、今になって知るわけだが、当時若干17才の齋藤学氏のデビュー作だったという。

齋藤学が当時よちよち歩きだったゲーム音楽に何をもたらし、5年ほどの活躍を経て22才で夭折された様子は、お父様の書かれたウェブサイトに詳しく、わたしなどが何かを付け加えることもできない。

とまれ、1987年というのは、バブル景気まっただなかであり、日本もアメリカに経済で勝って調子に乗っていたし、パソコンも乱戦状態、ファミコンも登場してきてゲーム市場が急拡大、あちこちに未開の荒野がひらけているときだった。

手つかずのあらゆる可能性に囲まれているとき、17才のアルバイト学生でも、才能があれば抜擢され、音楽を通じて世界のありようを変えるリーダーとなっていった。あのころは、だれにだって、可能性は開けていたのだ。

お父様のウェブサイトも閉鎖されたのか、Internet Archiveに記録されているものしか見られない状態で、齋藤学氏の記憶は刻一刻と、歴史のなかに砂の一粒のように埋もれていっている。

たとえ齋藤学氏の記憶が、たとえシステムサコムの記憶が埋もれていこうとも、彼らが前進させた、プロ級の才能のある音楽家による「ゲーム音楽の進化」という結果が後戻りすることはない。

功績は肥沃な土壌の一画を占め、後続世代が花を咲かせる土台になっている。

いまでも、Project EGGやX milleniumなどをつかって、当時を追体験できることには、感謝しかない。

あのころだけじゃなくて、いまだって、本当はだれにたいしても、いつでも、可能性は開けているんだ。

ささやかながら、世界を変革した、今は名を忘れられかけている英雄への、追悼のプレイであり、攻略記録であった。