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NuPhy Air60 V2 Ionic Whiteのキースイッチ選択とタイポ分析ツールの紹介

はじめに

発表後すぐに注文し、ずっと待っていたNuPhy Air60 V2 Ionic Whiteが手元に届きました。Air60 V1からこのキーボードを気に入っていました。V2も、初めて触れた瞬間から、その質感と機能性に感動しています。

masatler.hatenablog.com

しかしながら、キースイッチの選択には頭を悩ませていて、迷走しています。いろいろなキースイッチを試しながら、暫定的な配置にいたりました。キースイッチの特徴と、タイポ分析するためのツール開発について紹介します。タイプミスを減らし、快適なタイピング体験を実現する参考になれば幸いです。

キースイッチ(暫定配置)

  • 基本的にはCowberry
  • QWERTYUIOPはWisteria
  • 周辺キー(Tab, Shift, Fnなど)はAloe

おもにCowberryを使用することにしました。そして、タイポを減らすことと、心地よい打鍵感の確保の両立をねらって、WisteriaとAloeを配置しました。

選択のための、キースイッチの特徴比較

キースイッチの選択は、そのスペックに依存します。以下に、それぞれのキースイッチのカタログスペックを示します。

Aloe Cowberry Daisy Wisteria Moss
感触 (Feel) リニア (Linear) リニア (Linear) リニア (Linear) タクタイル (Tactile) タクタイル (Tactile)
押下圧 (Operating force) 37±15gf 45±15gf 48±15gf 55±15gf 60±15gf
プリトラベル (Pre-travel) 1.7±0.4mm 1.2±0.3mm 1.7±0.4mm 1.7±0.4mm 1.7±0.4mm
トータルトラベル (Total travel) 3.2+0.2mm 3.0+0.2mm 3.2+0.2mm 3.2+0.2mm 3.0+0.2mm

新世代のキースイッチ、CowberryとMossは、トータルトラベルが短く、「コトコト」とした音質です。一方で、ひとつ前の世代であるAloe、Daisy、Wisteriaは「カチャカチャ」という音がするように感じました。

ご参考:NuPhy提供のタイピングサウンド

表は、左側から押下が軽い順に並んでいます。押下圧は打鍵感に直結します。特にCowberryは、Daisyに比べて押下圧はわずかに軽いだけですが、プリトラベルが短いため、繊細かつ迅速な反応になります。音質の面では、Daisyは「カチャカチャ」、Cowberryは「コトコト」という印象です。

今回のAir60 V2にはCowberryの音質が適していると感じ、これを主な選択肢としました。Wisteriaも候補でしたが、その「カチャカチャ」という音がV2には合わないと判断しました。Mossは落ち着いた音が魅力的ですが、さすがに押下圧が高いことと、タクタイルな特性が底打ち音を大きくするため、選択から外しました。Mossもすごく魅力的なキースイッチなので、どこかで使いたいなとおもっていますが、先のテーマかなと考えています。

Cowberryの早い反応によって、隣のキーの誤押しや二重打ちが生じることがあり、特にQ-P列のキーでタイプミスが多発しました。そこで、Q-P列のキースイッチをWisteriaに変更しました。Wisteriaは少し「カチャカチャ」しますが、その重さとタクタイル感が意図しない入力を防ぐのに適していると感じています。

ちなみに、Air60 V1のときは、Wisteriaを愛好していました。まだCowberryやMossがなかったですが、もともとV1はキーボード全体がカチャカチャしているので、Wisteriaとの相性はいいとおもいます。

閑話休題修飾キーには軽いAloeを使用しました。これらのキーはサイズが大きく、誤押しや二重打ちのリスクが低いため、軽いキーを選んで指の負担を減らすことにしました。この選択は富士通のFMVモバイルキーボードの設計思想にも影響を受けています。

https://www.fmworld.net/fmv/keyboard/nkbu/2203/images/feature_input-01.png

Option、CommandキーなどにもAloeを使用することを検討中ですが、現時点では、まず富士通のアプローチに従ってみています。

キースイッチ選択の法則

タイプミスの種類によって、キースイッチを変えるのがいいと考えています。

「打ち間違い」は運指能力を向上させる以外ありません。一方で、「こう打ったはずなのに、結果が違う」ことがあります。それは、

  • 1回打ったはずが、複数回入力されている
  • 打ったはずが、入力されていない

に大別されます。ワイヤレス接続のせいもあるので、その場合はUSB有線で接続します。それ以外は、キースイッチで対応できることもあります。

まずは、キースイッチの種類は変えずに、スイッチを交換します。スイッチには個体差があるので、スイッチ自体がハズレかどうかを確かめます。

スイッチの種類を変える場合、基本的には、前者(複数回入力)に対しては、キースイッチを重く。後者(打ち損ね)はキースイッチを軽く。これで対応できるはずです。

今回のわたしのAir60 V2の場合は、Cowberryを中心にして、タイプミスの種類によってキースイッチを微調整しています。タイプミスの種類を自分で認識するためには、ミスを記録して分析すると良さそうです。そこで次の分析ツール作成に至りました。

タイポ分析ツールの導入

キースイッチをこれほど細かく選択するのは、やりすぎかもしれません。経験上、過剰なこだわりは必ずしも良い結果をもたらさないことがあります。しかし、適切なキースイッチ選択は、タイプミスを減らす上で重要です。

タイプミスを減らすためには、まず自身のタイプミスのパターンを正確に把握し、その傾向を分析する必要があります。しかし、気合いだけではタイプミスの記録を取るのは難しいことが判明しました。タイプミスが発生すると、ほとんど反射的にそれを消去してしまい、証拠を残すことができないのです。また、記録のために、タイピング中にたびたび思考が中断されることも、ほんらいのタスクを進める障害になります。

この問題を解決するため、タイプミスの記録を取ることができる専用ツール(Pythonスクリプト)を作成しました。このツールに関する詳細は、長くなるため、別の記事にあらためます。

おわりに

キーボードは、ただの入力ツールであると同時に、わたしたちの創造力と生産性の源でもあります。この記事を通じて、NuPhy Air60 V2の体験を共有できたことを大変嬉しくおもいます。キースイッチの選択から、タイプミス分析ツール製作に至るまでのプロセスは、多くの試行錯誤と発見に満ちていました。この経験が、皆さんのキーボード選びやカスタマイズのお役に立つことを願っています。最後までお読みいただき、心から感謝申し上げます。

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