虎(牛)龍未酉2.1

記録帳|+n年後のジブンが思い出せますように……

「笑の大学」2023年公演 、そして茶道との意外な共通点(かも)


三谷幸喜笑の大学」2023年公演を拝見してきました(3月26日大阪公演)。本当におもしろかった!(あたりまえですが)なんども大笑いし、なんども涙してしまいました。素晴らしい時間を過ごすことができ、本当に幸せでした。

思い出を記録しておきます。

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I. 過去から現代へ:タイムスリップのような舞台体験

1996年公演のDVDを持っていたので、復習してから行きました。 いっときは空でいえそうなぐらい見ていたのですが、 さすがにもう20年ぐらい経っているので、ずいぶん忘れていました。今回の舞台の前情報は、なるべく入れないようにして行きました。結果的には復習してから行って、ちょうど良かったです。

II. 席の位置がもたらす視覚的圧倒感:三谷ワールドへの没入

とても良い席が当たりました。完全抽選制なのでどの席に当たるかじぶんでは選べないのですが、なんと前から3列目のほぼ真ん中。ここしばらくの運を使い果たすのではないかと心配になるぐらい良い席でした。

すごく前の席だったので(当たり前なのですが)とても大きかったです。今まで何度となく「笑の大学」は見ています。でもテレビ画面やパソコンやスマほの画面で見ているだけでした。それとは全く違って、視界いっぱいに「笑の大学」の世界が展開されている。この体験は全く初めてで、素朴にけっこうな驚きでした。

III. 新旧交替:役者と演出が織りなす刷新された笑い

役者については、大変不勉強ながら、どちらの人も初めて見る人だったので、大変新鮮に見ることができました。これは舞台音響が良かったからか、あるいは演出での工夫があるのか(聞き取りにくいセリフは気をつけて発音するなど)、1996年版と比較してセリフが聞き取りやすいように思いました。

コメディですので、「あれ今なんて言ったんだろう」と考えることが少ないと、すごくのめり込み度合いが上がったように思いました。

IV. 予想外の展開:シナリオの進化とサプライズ

1996年版と比較して、「セリフの展開、全く同じやん」「もともとの台本が相当よくできてたんだなぁ」と思うところ。細かく変更が入っていて「小技が効いているなぁ」と思うところ。わりと大きめに変更してあるところがありました。

「今回はなんでこんな風に変えたんやろうと」つらつら考えることも結構おもしろかったです。ネタバレになるので詳細は割愛いたします。

V. 茶道と喜劇の意外な共通点:日本文化のエッセンス

開演前に舞台セットを眺めていて思いました。「笑の大学」は1つの部屋で話が展開します。舞台セットは最初から最後まで固定です。この部屋にヒトやモノが入ったり出たりします。

最初は、がらんどうの空間があって、そこに人やものが出たり入ったりして、最後にがらんどうの空間に戻る。このスタイルは茶道のお茶事に似ているよなと思いました。

ただの喜劇といえば、喜劇であり、おもしろければ理屈は何でもいい三谷幸喜ですが、その笑いの根底には「いかにも日本」が通底しています。「いかにも日本」の要素のひとつとして「茶道的」も紛れ込んでいたのかなと思いました。あるいは茶事のほうが舞台的である、という方が正確なのかもしれません。

VI. 舞台背景の秘密:千利休の待庵が教える美学

茶道的だなぁと思って眺めていると、舞台セットもそのように見えてきてしまいました。舞台の背景にはセットで取調室が表現されています。言葉だけで説明するのがむずかしいんですが、この取調室のパースがおかしくて、見ている側の遠近感が狂うような表現になっています。

このパースのおかしさの違和感を減らすためか、角の部分の直線がはっきりと見えないようにうまくペイントがされていました。ですので、とても狭い部屋なんだけれども、同時にとても広い部屋であるような不思議な空間感覚の中で、約1時間半を過ごすことになりました。

この空間感覚の作り方は、茶道の始祖である千利休が作ったと言われている、妙喜庵の「待庵」の空間設計と似ています。利休の作った「待庵」は、2畳という世界で最も狭い空間です。しかし実際に入ってみると、その狭さを感じません。なぜこうなるのか。待庵茶室の写しを自宅に作って、何度も茶事を行って体験し、なぜこうなるか分析しました。それは、遠近法を巧妙に使っていること、スミを巧妙に隠蔽することによって、人間の脳をバグらせることによって生じているものと考えられます。

笑の大学」の舞台美術のかたが待庵の空間設計を参考にしたのかどうか分かりません。あるいは、狭い部屋の出来事を効果的に表現しようとすると、同じ手法に収束するのかもしれません。いずれにせよ興味深いことと思いました。

VII. 総括

ChatGPTに、ここまでの記述をまとめてもらうと

VII. 総括

今回の三谷幸喜「笑の大学」2023年公演は、過去の公演と新たな演出や役者が融合して、観客に圧倒的な視覚体験をもたらしました。さらに、シナリオの進化やサプライズな展開が観客を引き込み、一幕ものの舞台と茶道の茶事との意外な共通点を発見できました。また、舞台背景の美学においても、千利休の待庵を彷彿とさせるデザインが新たな発見をもたらしました。

この公演は、日本文化のエッセンスが随所に散りばめられており、観客に多くの驚きと楽しさを提供してくれます。過去の記憶と新たな発見が絶妙に絡み合い、舞台の魅力が際立つ作品となっています。この素晴らしい公演を通じて、私たちは日本の文化や伝統、そして笑いを再認識し、その奥深さに感動することができます。

今後も三谷幸喜の作品から目が離せないことは間違いありません。彼の才能が生み出す新たな驚きや発見が、これからも私たちの心を掴み続けることでしょう。そして、彼の作品に触れることで、私たちの日常にも新しい視点や価値観が生まれることを期待しています。

だそうです。まあそんな大げさなことでもなくて、単純に、すごくおもしろかったです!!!