虎(牛)龍未酉2.1

記録帳|+n年後のジブンが思い出せますように……

100匹の魚たちの ものがたり

あるところに、ほどよい大きさの池が、ありました。
池は、大きくなったり小さくなったりしながら、
なんだかんだと数百年、その場所にありました。
池には魚が100匹、すいすいと泳いでいます。


池のほとりにひとり、
池を代々見守っている「守り人」がいました。
守り人はさいきん、池が干上がってきていることに
気づきました。温暖化の影響だかなんだかわかりませんが、
このままでは、池の魚100匹は、死んでしまいます!
池の守り人は、大きな声で言いました。
「みんな!池を出るんだ!陸にあがれ!
 北には、豊かな大地があるんだ!
 池を出るんだ!歩こう!」


池には、ちょっと変わった魚が5匹いて、
以前からちょくちょく陸にあがっては草や果物を
食べたりしていました。
草や果物を池に持って帰って、水草ばかり食べている
仲間の魚にあげることもありました。
果物を持ってくる魚たちは、池の世界でもいちもく
おかれていました。


池の守り人の呼びかけに答えて、まず陸にあがったのは
5匹の魚たちです。たしかに、池は昔と比べると
だんだん小さくなっています。「これはまずいな!」
陸にあがれる5匹の「半魚」たちは、泳ぎのうまい12匹の魚に
声をかけました。「おい!陸にあがってこい!」


選ばれし12匹の魚たちは、おそるおそる陸にあがってみました。
5匹の半魚たちは、一生懸命、陸での歩き方を教えました。
でも、選ばれし12匹のうち、
 1匹の魚は、陸にあがって死にました。
 2匹の魚は、ほうほうの体で池に逃げ帰りました。
 「なんで陸になんかあがらなきゃなんないのか、わかんねえな。
  水の中なら息も苦しくないし、食べ物だっていっぱいある。
  泳ぎもうまいし、ここじゃおれたちいちもく置かれてるんだしな」
 2匹の魚は、なんとか陸で歩き始めています。
 「歩けなきゃ、生きていけねえもんな。ぜえぜえ」
 3匹の魚は、陸の上でぴちぴち跳ねています。
 「歩かなきゃ。ぴちぴち。歩かなきゃ。ぴちぴち」
 残りの4匹は、息も絶え絶えで池に戻り、池の底でひっそりと
 息をしずめています。
ぴちぴち跳ねていた2匹も、ついに息が続かなくなって、
池に戻ってしまいました。
歩き始めた2匹は、陸にあがったり、水に戻ったり
うろうろしています。


「これじゃあほんとうにやばい!」池の守り人は思い、
天に祈りを捧げました。
「なんとかしないとまずいですこれは。力を貸してください!」
守り人の祈りにこたえて、羽の生えたちいさな妖精があらわれました。
ちいさな妖精が、羽をぱたぱたさせると、選ばれし11匹が池から
ざっぱーんと飛び出し、陸に放り出されました。
5匹の半魚たちは、妖精の近くにやってきました。
「妖精さん、わたしたちもなんとかしたいと思っています!
 でも、いったいなにをすればいいでしょうか?
 ほんと、みんな、陸にあがるのは苦手なんです。正直なところ。」
妖精はいいました。「みんなが陸にあがれるようになる方法を
いっしょに考えましょうか」


陸にあがった11匹の選ばれし魚の運命や、さていかに。
2匹は、なんとか立ち上がり歩き始めています。
9匹は、ぴちぴちぴちぴち跳ねています。


池の中には、今から陸にあがらなければいけない
83匹の魚が残されています。
わりと泳ぎもうまくて若い10匹の魚は、池の中から陸の上を、
興味深そうに見ています。
20匹の魚は、さいきん生まれたばかりなので、陸にあがれるなと
思ってはいますが、実はまだうまく泳げません。
そもそも陸にたどりつけないじゃん。
のこり53匹の魚たちは、様子を見ています。っていうか、
今日のエサを探すのに忙しくて、陸の上のことまで頭がまわって
いません。


組織変革プロジェクトって、100匹の魚たちが、
陸で生活できるようにすることです。
コンサルタントは、妖精っすかね。
なんだかんだ言って、歩けるようにしちゃうんだよなあ。
やるなあ(自画自賛)。


そんなわけで、こんどはナウマン像の妄想に取りつかれていますが、
それはまた、別の話。