奇跡のソフト


今朝は営業資料の作成を依頼され、ほいほいとパワーポイントで作ってたのですけれど。「すぐ使いたいから速く作って」という声を背中に、せっかくだから新しい機能でやってやろうじゃねえかと。いやあの、ずうっとオフィス2000で時代が止まっていましたものでね。2010なんて完全に近未来ですよ近未来。でスマートアートとかいうのを使いながら一枚もの作っておったんですわ。ほんだらもう、ナニーコレーですな。どうしたいのか、分かるようなわからぬような、なんというかオトメゴコロ的な?分かりあえたと思ったら、するりと手から抜けていく〜。
悔しいので夕方本屋に行きまして(もちろん依頼された資料は時間内に作りましたですよ。そこはトーシロじゃねえんで)、うわあ。このパワーポイントってえやつは、奇跡のソフトウェアだ、としみじみした次第。嫌味じゃないですよ。いや、嫌味なのかな。ええいどちらでもいいけれど、このなんとも言い難いソフトウェアの成功と失敗から、もっとおれはビジネスのいろいろあれやこれやを学んだほうがいいんじゃないかと思った。
「パワポが奇跡な7つの理由」とかにまとめたらカッコエエねんけど、そこまでやる気には満ちていないので、思いつくがままに書き留めておくです。

  1. オブジェクト指向、ツリー構造主義の頂点であることは間違いない
  2. (おそらく)なんでもできるが、何ができるのかわからないし検討もつかない
  3. 以前のバージョンを使っていればすぐに使えるが、ちょっと違うことをしようと思うといきなり道を失う
  4. うまく使えない大多数のユーザは「あたしが使いこなせてないのね」と思ってくれる。うまく使えないユーザの一部は「余計な機能ばかり増やしやがってよ」と言う。うまく使えるユーザの大部分は「パワポなんて使っちゃダメだよ」と言う。うまく使えるユーザの一握りが、じっくり使いかたを学んでくれる
  5. ユーザに好かれることは、ビジネス上のキードライバーではないことを教えてくれる
  6. 技術的な奥深さは、ユーザにとってもあまり意味がないし、ビジネス上のキードライバーでさえもないことを教えてくれる
  7. すごく論理だてて系統的に仕組みをデザインしている気配がするが、インタフェースから推測できず、ヘルプを見ても書かれておらず、本屋で解説書を見ても、ロジックが見えない
  8. ようするにテーマとスマートアートなんでしょ。テーマの下位概念に色、フォント、効果があって、ゆるく紐づくのが背景なんでしょ。あれえ、違うのかなあ。分からなくなってきた


設計思想は明確で、達成した高みはかなりいいところまで行ってるのに、それを説明する機会を与えられず、聞いてくれそうな人もおらず、エンジニアの悲哀ここに極まれり。って印象。それでもビジネスとして成り立っていて(なりたってるんだよな?)、ユーザに認められなくて、これって現代の7不思議のひとつに数えてよくないですか。かつてのシステムコンサルタントとして多少の反省と、経営改革のプロフェッショナル(マニア)としての自戒と、そのた諸々が入り混じって複雑な心境。
テーマとスマートアートに絞って、なんでパワーポイントはこういう仕組み、インタフェース、挙動になっているのか、目的指向で解きほぐした解説を書いてみたい気がしたが、読者もいなさそうだし、ズルズル深みにハマる予感がした。
奇跡には、深入りしないほうがいいのかもしれない。いやホント嫌味じゃなくて。

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